黒い水溜まりをみつめながら 男は哀しくなりました。 黒い水溜まりに、小さな雨がポツポツと降り注いできました。 その雨は鎧の隙間から落ちていました。 男は空っぽになった器を拾いあげて、自分の涙を器に入れて蓋をしました。 ガラスだった器はただの錆びた塊になり その塊を鞄の中に放り込みました。 塊は、他の塊の中に紛れてしまいました。 -終- ■ 鎧男と傷女-1-■鎧男と傷女-2-■鎧男と傷女-3-